2019/11/26
「路線価」否定判決について
2019年11月19日の日本経済新聞で、『「路線価」の否定判決に波紋』という記事がありました。これについて解説します。
【概要】納税者が路線価にもとづいて評価した不動産の評価額は不適切として、国税側が主張する評価額を東京地裁が認めた。
相続税を計算するために土地を評価する場合には、原則は「時価」で評価すると定められていますが、納税者が時価を調べるのはなかなか難しいので、国税庁が毎年発表する路線価をもとに計算することが一般的です。
「時価」とは通常の取引価格と考えればOKです。
路線価は通常の取引価格の8割ぐらいなので、お金でもっているよりも土地を購入したほうが相続税が安くなるため、節税目的で不動産を購入することは多々あり、それ自体は問題にはなりません。
今回問題になったのは、不動産の購入額と路線価による評価額が大きく乖離していた点。
購入額 約13億8700万円 ※所有者が亡くなる3年ほど前に購入
路線価による評価額 約3億3000万円
これについて東京地裁は、国税庁が不動産鑑定にもとづいて主張する評価額約12億7300万円を認めました。
つまり、路線価による評価は通常は認められるが、一般的な取引価格と極端に乖離する場合には認めないということ。
そうすると、税理士や納税者は、路線価による評価額が極端に下がる場合には、国税から否定される可能性があると考える必要があります。不動産鑑定士に一般的な取引価格を鑑定してもらうなどの対策が必要です。